九州産直通信

「魯山人風すき焼き」を作ってみた

シャブスキー
料理マンガ「美味しんぼ」で最も印象に残る料理。 みなさんは何でしょうか。 私にとって第一位は「冷や飯に水をかけたもの」です。美味しい気がしません。 しかしあの世界の舌はツワモノばかり。貧乏舌では理解出来なさそうで再現はやめておきます。 さて第二位は言わずと知れた「魯山人風すき焼き」、そして「シャブスキー」 安直な名前ですが美味しそうです。再現することにしてみました。

そもそも「すき焼き」美味しいですか?

僕は、すき焼きを、美味しいと思ったことがありません。 卵が体質的にも苦手なんです。 でもそれだけじゃありません。 砂糖醤油でベッタリ味付けしただけの味付け。 ちょっとネギやシイタケの味が入るだけ。牛肉は食感を味わうもの。 これ、別に高級牛である必要ありますか?・・・長年の疑問でした。 美味しんぼ、いわく。 主人公たちも僕と同じことを言っているのです。 そして出てきた料理が「魯山人風すき焼き」、その改良版「シャブスキー」。 子どもの頃から正体不明で、よくわからず、面倒そうな2料理を作ってみました。 肝心の牛肉は[鹿児島黒牛の和牛肩ロース]を使って料理してみます。 全国和牛チャンピオンに輝いたコクと旨味が特徴、とのことです。きっと最高ランクに美味しい肉のはずです。

魯山人風すき焼きの作り方

作り方はかんたんです。 (当時とは味の好みも変わっていますので、原典とは違うところもあります)

まずは肉だけレアで食べる

まず、火にかけた鉄鍋へ、牛脂を回して溶かします。 スキレットくらいのサイズがおすすめ。 あくまで低温でじっくりと。 野菜を決して入れてはいけません。 肉は肉、野菜は野菜でいただく流儀だそうです。 ほんのり脂が溶けてきたら、醤油を足します。 魯山人氏は醤油だけで食べるべきとしていたようです、が、少し味醂と日本酒も足しておくほうが食べやすいです。 魯山人風すき焼き 肉+醤油 醤油は温かめ、程度の火加減です。せいぜい50~60度くらいでしょうか。 肉がほんのりとレアな状態で食します。 うん。 めちゃくちゃうまい。 脂が甘い。肉が柔らかい。 とくに、こんなにも牛肉は柔らかく、栗のように甘いのか、と驚かされます。 大根おろしを添えると、また格別。 ジューシー、の意味が変わります。 魯山人風すき焼き 大根おろし付 …しかし写真映えしません。薄口醤油で作るべきでした。反省せねば。 時間はかかるけど、良い牛肉をもらったとき、ぜひとも一度は試してほしい食べ方です。 ジューシーでこんなにも甘いなんて! そんな発見があります。 さて次は野菜のターン。

牛の脂で野菜を食べる

鍋には、甘みたっぷりの牛脂、そして醤油のスープが残っています。 野菜を投下します。 魯山人風すき焼き・ネギだけ ネギを入れて、甘みたっぷりのスープを吸わせます。 春菊、ほうれん草、豆腐、こんにゃく等もこのときに入れます。つまり肉以外のターンですね 食します。 じっくりと肉の旨味スープを吸った野菜が、また甘辛く鮮烈に美味しくなるのです。 そして食べ終わればまた肉を頂きます。 これを繰り返すのです。

魯山人風すき焼き 画像検索でよく出てくる形

でも肉が欲しくなりませんか? 肉と野菜を同時に食べるのは、魯山人式ではNGなんです。 でも仕方ありません。 肉が食べたくなったら、こう並べちゃいましょう。 魯山人風すき焼き・肉とネギ一緒に版 よく見る構図です。野菜と肉は別々に食べるべきでは?と考えると、どうも邪道のようです。 でも十分美味しいです。ただ別々に焼いたときのほうが味は上ですね…。 また、よく見る構図通りそのまま作った反省として…ネギは短めに切ったほうが絶対にいいです。 でないと、ネギに美味しく火が通るまで、あまりに時間がかかりすぎるのです。 優雅に時間をかけて食べたい方がいれば写真ままにどうぞ。おすすめはしません。

シャブスキーを作ってみる

魯山人風すき焼きを作ってみた感想。 「すっごく美味しい、けど時間がかかりすぎる。」 「お一人様専用なら最高。多人数で食べるには鍋奉行の仕切りが必須。」 そこで美味しんぼ作中で考案されたのが「シャブスキー」 店でされるように簡略化されたと作中では解説されます。 シャブスキーのポイントはつけダレ。 日本酒を弱火で沸かし7割位の量まで煮詰めます。 そこへ梅干しを加え、1日置いておくのです。 (地味な作業なので写真はありません) 酒と梅だけのスープ、これ、すごく美味しいです。 旨味しか無い、といっても過言ではありません。本当に旨さだけを凝縮したスープです。 さて、鍋には、昆布だしと味醂に少量の醤油を加えておきます。 味付けは控えめでOKです。つけダレが美味しすぎるので変な真似は要りません。 さきほどの一日寝かせた梅入り煎り酒も少し加えます。 魯山人風すき焼きと同じように、肉から火を通します。 肉がほんのり白くなったところで野菜も。 あとは沸騰させず弱火でじっくりと。火の通りはもちろん魯山人風すき焼きより早いです。 シャブスキー さて、つけダレは先程の、一晩寝かした梅干入り日本酒。 ふむ? シャブスキー、率直には、魯山人風すき焼きには劣ると感じます。 でも、これはこれで。十分すぎるほどに旨いのです。 これもまた牛肉が栗のように甘くてジューシーなことを気付かされます。 シャブスキーは適当に肉も野菜も入れちゃいましょう。 それでも美味しいのです。 魯山人風すき焼きは、人生でベスト5に入るくらいに旨い鍋料理でした。 松茸なんて入れると、嫌味ではあるけれど、絶品になるとおもいます。

使った牛肉

スタッフの役得として、今回は[鹿児島黒牛の和牛肩ロース]を頂く機会があり試してみました。 脂がもつ甘みとジューシーさ、サシが入った赤身のトロトロした食感。 魯山人風すき焼きを作るなら、どっちも妥協せず選びたいもの。だって一生モノの美味しさですよ、これ。 野菜・こんにゃく・豆腐も、醤油も、質にこだわって料理をされてみてほしいです。 こんなに美味しいすき焼き、食べないのは絶対に損です。

※商品の価格や内容はブログ投稿時のものとなりますので変更となっている可能性があります。最新の情報は商品ページをご確認ください。

この記事を書いた人

Motto: 料理でも実験したくなる派

家で外食の味を作りたいひと。 発見は「醤油と塩がよければOK」