料理マンガ「美味しんぼ」で最も印象に残る料理。
みなさんは何でしょうか。
私にとって第一位は「冷や飯に水をかけたもの」です。美味しい気がしません。
しかしあの世界の舌はツワモノばかり。貧乏舌では理解出来なさそうで再現はやめておきます。
さて第二位は言わずと知れた「魯山人風すき焼き」、そして「シャブスキー」
安直な名前ですが美味しそうです。再現することにしてみました。
そもそも「すき焼き」美味しいですか?
僕は、すき焼きを、美味しいと思ったことがありません。
卵が体質的にも苦手なんです。
でもそれだけじゃありません。
砂糖醤油でベッタリ味付けしただけの味付け。
ちょっとネギやシイタケの味が入るだけ。牛肉は食感を味わうもの。
これ、別に高級牛である必要ありますか?・・・長年の疑問でした。
美味しんぼ、いわく。
主人公たちも僕と同じことを言っているのです。
そして出てきた料理が「魯山人風すき焼き」、その改良版「シャブスキー」。
子どもの頃から正体不明で、よくわからず、面倒そうな2料理を作ってみました。
肝心の牛肉は
[鹿児島黒牛の和牛肩ロース]を使って料理してみます。
全国和牛チャンピオンに輝いたコクと旨味が特徴、とのことです。きっと最高ランクに美味しい肉のはずです。
魯山人風すき焼きの作り方
作り方はかんたんです。
(当時とは味の好みも変わっていますので、原典とは違うところもあります)
まずは肉だけレアで食べる
まず、火にかけた鉄鍋へ、牛脂を回して溶かします。
スキレットくらいのサイズがおすすめ。
あくまで低温でじっくりと。
![](https://blog.otoriyose.site/wp-content/uploads/2023/03/1079077.jpg)
野菜を決して入れてはいけません。
肉は肉、野菜は野菜でいただく流儀だそうです。
ほんのり脂が溶けてきたら、醤油を足します。
魯山人氏は醤油だけで食べるべきとしていたようです、が、少し味醂と日本酒も足しておくほうが食べやすいです。
![魯山人風すき焼き 肉+醤油](https://blog.otoriyose.site/wp-content/uploads/2023/03/1079081-1024x768.jpg)
醤油は温かめ、程度の火加減です。せいぜい50~60度くらいでしょうか。
肉がほんのりとレアな状態で食します。
うん。
めちゃくちゃうまい。
脂が甘い。肉が柔らかい。
とくに、こんなにも牛肉は柔らかく、栗のように甘いのか、と驚かされます。
大根おろしを添えると、また格別。
ジューシー、の意味が変わります。
![魯山人風すき焼き 大根おろし付](https://blog.otoriyose.site/wp-content/uploads/2023/03/1079095.jpg)
…しかし写真映えしません。薄口醤油で作るべきでした。反省せねば。
時間はかかるけど、良い牛肉をもらったとき、ぜひとも一度は試してほしい食べ方です。
ジューシーでこんなにも甘いなんて!
そんな発見があります。
さて次は野菜のターン。
牛の脂で野菜を食べる
鍋には、甘みたっぷりの牛脂、そして醤油のスープが残っています。
野菜を投下します。
![魯山人風すき焼き・ネギだけ](https://blog.otoriyose.site/wp-content/uploads/2023/03/1079100.jpg)
ネギを入れて、甘みたっぷりのスープを吸わせます。
春菊、ほうれん草、豆腐、こんにゃく等もこのときに入れます。つまり肉以外のターンですね
食します。
じっくりと肉の旨味スープを吸った野菜が、また甘辛く鮮烈に美味しくなるのです。
そして食べ終わればまた肉を頂きます。
これを繰り返すのです。
魯山人風すき焼き 画像検索でよく出てくる形
でも肉が欲しくなりませんか?
肉と野菜を同時に食べるのは、魯山人式ではNGなんです。
でも仕方ありません。
肉が食べたくなったら、こう並べちゃいましょう。
![魯山人風すき焼き・肉とネギ一緒に版](https://blog.otoriyose.site/wp-content/uploads/2023/03/1079118.jpg)
よく見る構図です。野菜と肉は別々に食べるべきでは?と考えると、どうも邪道のようです。
でも十分美味しいです。ただ別々に焼いたときのほうが味は上ですね…。
また、よく見る構図通りそのまま作った反省として…ネギは短めに切ったほうが絶対にいいです。
でないと、ネギに美味しく火が通るまで、あまりに時間がかかりすぎるのです。
優雅に時間をかけて食べたい方がいれば写真ままにどうぞ。おすすめはしません。
シャブスキーを作ってみる
魯山人風すき焼きを作ってみた感想。
「すっごく美味しい、けど時間がかかりすぎる。」
「お一人様専用なら最高。多人数で食べるには鍋奉行の仕切りが必須。」
そこで美味しんぼ作中で考案されたのが「シャブスキー」
店でされるように簡略化されたと作中では解説されます。
シャブスキーのポイントはつけダレ。
日本酒を弱火で沸かし7割位の量まで煮詰めます。
そこへ梅干しを加え、1日置いておくのです。
(地味な作業なので写真はありません)
酒と梅だけのスープ、これ、すごく美味しいです。
旨味しか無い、といっても過言ではありません。本当に旨さだけを凝縮したスープです。
さて、鍋には、昆布だしと味醂に少量の醤油を加えておきます。
味付けは控えめでOKです。つけダレが美味しすぎるので変な真似は要りません。
さきほどの一日寝かせた梅入り煎り酒も少し加えます。
魯山人風すき焼きと同じように、肉から火を通します。
肉がほんのり白くなったところで野菜も。
あとは沸騰させず弱火でじっくりと。火の通りはもちろん魯山人風すき焼きより早いです。
![シャブスキー](https://blog.otoriyose.site/wp-content/uploads/2023/03/1079155.jpg)
さて、つけダレは先程の、一晩寝かした梅干入り日本酒。
ふむ?
シャブスキー、率直には、魯山人風すき焼きには劣ると感じます。
でも、これはこれで。十分すぎるほどに旨いのです。
これもまた牛肉が栗のように甘くてジューシーなことを気付かされます。
シャブスキーは適当に肉も野菜も入れちゃいましょう。
それでも美味しいのです。
魯山人風すき焼きは、人生でベスト5に入るくらいに旨い鍋料理でした。
松茸なんて入れると、嫌味ではあるけれど、絶品になるとおもいます。
使った牛肉
スタッフの役得として、今回は[
鹿児島黒牛の和牛肩ロース]を頂く機会があり試してみました。
脂がもつ甘みとジューシーさ、サシが入った赤身のトロトロした食感。
魯山人風すき焼きを作るなら、どっちも妥協せず選びたいもの。だって一生モノの美味しさですよ、これ。
野菜・こんにゃく・豆腐も、醤油も、質にこだわって料理をされてみてほしいです。
こんなに美味しいすき焼き、食べないのは絶対に損です。